フランチャイズでコンビニ経営の実態は?メリットとデメリットを解説


フランチャイズといえば、コンビニエンスストア(以下コンビニ)をイメージする人は少なくありません。それも、コンビニのブランド力のたまものではないでしょうか。フランチャイズでコンビニを選ぶ加盟店は、コンビニ本部のブランドと運営ノウハウを活用することを目的に加盟しています。

今回は、フランチャイズ制を採用したコンビニに加盟する加盟店の業務やメリット・デメリットなどを解説します。これからコンビニ参入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

コンビニ独立の実態

独立開業に向けてコンビニを検討している人は、「実際にコンビニ加盟ってどうなの?」という、疑問を抱くこともあるでしょう。コンビニ業界における売上の実態は、どのような状況なのでしょうか。

コンビニの直近の売上状況

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会による「コンビニエンスストア統計データ」では、2017年から2022年にかけて全国のコンビニ店舗の売り上げ統計を公開しています。

2017年コンビニ全店舗売上高:10,697,520百万円(前年増減比1.8%)
2018年コンビニ全店舗売上高:10,964,625百万円(前年増減比2.6%)
2019年コンビニ全店舗売上高:11,160,772百万円(前年増減比1.7%)
2020年コンビニ全店舗売上高:10,660,833百万円(前年増減比-4.5%)
2021年コンビニ全店舗売上高:10,781,613百万円(前年増減比1.1%)
2022年コンビニ全店舗売上高:11,177,519百万円(前年増減比3.7%)

 
2017年から2022年までのコンビニ全店舗の売上高推移は、2019年まで増加傾向であった状況が2020年に新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込みました。しかし、翌2021年から増加傾向へと転じ、2022年では、2019年の売上高を上回る金額になっています。

データ出典:一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計データ」

コンビニは、全国各地でチェーン店を見かけるほど加盟店の数が多いビジネスモデルです。統計データサイトの「都道府県市区町村」では、全国のコンビニ店舗数の2022年9月時点で5万8,000件と発表しています。一見、飽和状態に思えるコンビニ業界でも全国的に売上高は増えている状況です。

データ出典:統計データサイト「都道府県市区町村」

このように、コンビニ業界は、売上高が伸びていることから参入する加盟店も増えることが考えられます。

コンビニ経営者の実態

コンビニ経営では、一般的に加盟店の平均年収が700万円といわれています。コンビニ経営者のほとんどは、フランチャイズシステムを活用して本部企業とフランチャイズ契約を交わします。そのうえで独立開業している状況です。加盟店の年収は、コンビニ店舗の立地条件で異なります。流動性の高い地域では、平均年収700万円ほどが期待できますが、郊外などの立地の場合は、経営者の平均年収が400万円前後も考えられるでしょう。

ここでひとつ見落としがちな点があります。それは、コンビニ経営者の年収が店舗収益である場合、家族経営だとひとりあたりの年収が下がることです。たとえば、コンビニのフランチャイズ契約の条件が夫婦で経営することであれば、年収700万円でもひとりあたり350万円という計算になります。複数人で経営した場合は、人数で割ることで年収も下がることを把握しておきましょう。

コンビニ経営者の実際の業務

コンビニ経営者は、店舗の接客だけが仕事ではありません。実際には、本部企業との契約や運営マニュアルに沿って動かなければなりません。もちろん、勤務シフトの穴を埋めたり、アルバイトやパートを教育したりすることも必要です。人手不足のまま運営していたら、店舗接客や商品の発注などの業務に追われることが考えられます。

また、コンビニの多くは24時間365日の営業を売りにしています。そのため、人手不足が発生した場合、経営者自身がシフトに入り、店舗運営を続けなければなりません。その際、「深夜勤務明けだから」という言い訳も成り立たなくなります。コンビニの実態は、人手不足の穴埋めによる経営者の負担が大きいことです。

コンビニ独立を目指すメリット・デメリット


コンビニ経営者の実態では、どのような仕事でも言えますが働き手なくして成り立たないということです。コンビニ店舗で接客や商品の品出しなどを担当するスタッフを集められなければ始まりません。その点もふまえてコンビニで独立開業を目指すことには、メリットやデメリットが考えられます。

メリット

コンビニで独立を目指すメリットは、次のとおりです。

  • 本部のブランド力を活用して集客できる
  • コンビニで扱う商品が生活必需な消耗品が多いためリピーターの確保しやすくなる
  • 本部が提供するマニュアルや開業時のフォローなどサポート体制が充実している
  • 本部によっては開業資金の負担が軽減されるプランもある
  • 一定期間インターンとして既存店舗で研修期間を経験したうえで開業できる

コンビニで独立を目指すことは、本部企業の手厚いサポートを受けながら成果の出る方向に進められます。本部企業側にしてみても、本部人材の配置が必要ありません。加盟店が自社ビジネスの販路拡大の役割を持ちます。軌道に乗れば、そのエリアで多店舗展開も夢ではないでしょう。そのため、加盟店が開業する際は、余すところなく本部のノウハウを活用できます。

デメリット

コンビニで独立するデメリット部分は、24時間365日の営業スタイルにあります。コンビニの独立は、売上こそ本部企業のブランド効果を期待できますが、スタッフの確保が大きなポイントとして考えられるでしょう。その理由は、本部企業と交わすフランチャイズ契約にあります。

コンビニの場合は、フランチャイズ契約が10年以上で設定されることが考えられます。契約期間中にスタッフに欠員が出た場合、経営者がその穴埋めをしなければなりません。つまり、長時間労働でもシフトに入る必要があります。経営と接客どちらもこなしながら休みなく働くことで体調を壊すことも考えられるでしょう。

その結果、店舗経営を続けられなくて中途解約となれば違約金の支払いを求められます。要するに、経営者が無理して体調を崩してしまうと、収入減だけではなく解約違約金の支払いまで負担が掛かるため、常に働き手を確保できるような人脈や管理が必要になってくるでしょう。

コンビニの独立が向いている人


コンビニで独立を目指すメリットとデメリットを紹介してきましたが、それらを参考に「どのような人がコンビニ経営に向いているか」を紹介します。コンビニ経営に向いている人は、次のような人です。

店舗経営未経験者:本部サポートを活用できる
コンビニ業務未経験者:既存店舗インターン研修制度を活用して業務経験を積める

 
コンビニ経営は、経験や経営ノウハウよりも、契約期間中の途中リタイアを防ぐため、店舗スタッフ集めや自己管理能力の方が必要ではないでしょうか。

まとめ

今回は、フランチャイズビジネスの業種でコンビニを選んで独立した際のメリットやデメリットについて解説してきました。コンビニは、フランチャイズの中でも成功しやすく要素の多いビジネスモデルです。その理由は、生活必需品を扱い24時間365日の営業でリピーターを確保しやすい点と、本部企業のブランドとサポートを活用できる点ではないでしょうか。店舗を出店した地域のリピーターを獲得することも目指せます。

コンビニで独立することは、集客や運営面のテンプレートがそろっている状態で始められるため、開業時のスタッフさえ抱えていれば店舗の完成とともに始められます。契約における解約違約金さえ注意すれば、独立に向いているビジネスモデルと考えられます。