コロナに強いフランチャイズ!シンプルなコンセプトの事例を紹介
「コロナ禍だろうと関係なくビジネスを進められる方法はあるのだろうか」
コロナだろうと客足が途絶えないビジネス、コロナの動向に一喜一憂しないビジネスモデルはあるのでしょうか。コロナウイルスの影響を受けて廃業してしまう飲食店の中でも、黒字を出すビジネスモデルは存在します。フランチャイズは、本部企業が直営として店舗運営をすることを目的としていないビジネスモデルです。それだけに、加盟店がどれだけ本部のノウハウを再現できるかが重要なカギとなるでしょう。この部分をコロナ禍で結果を出した企業の事例から読み解いてみましょう。
この記事では、フランチャイズがなぜコロナに強いのか、またコロナに強いビジネスモデルは何かなどを解説します。変化の激しい世の中でも勝ち残るためのビジネスモデルを探している人は、ぜひご一読ください。
コロナの影響から見える背景
長引く新型コロナウイルス感染症への対策は、ビジネス市場を大きく変化させています。昨今では、ウィズコロナやアフターコロナ、コロナ禍などあらゆる場面で持ち出されるほどの影響力を持っている状況です。コロナの影響により、事業を持続できなくなったケースも少なくないでしょう。
コロナが原因で倒産・廃業した件数統計
帝国データバンクの発表した全国の法人及び個人事業主を対象にしている統計調査の「新型コロナウイルス関連倒産累計発生件数推移」では、2020年12月の倒産・廃業件数が、838件。それから加算されて2年後の2022年12月の倒産件数が4,877件という結果になっています。2年でおよそ5.8倍増加している背景には、どのような事情があるのでしょうか。
紹介した統計調査は、2023年1月18日時点で全国のコロナ関連倒産の対象事業所(法人・個人事業主)が4,910件となっています。4,910件のうちの業種別で最も多い内訳が次のとおりです。
建設・工事業:610件
食品卸:255件
食品小売:199件
統計調査の結果からは、飲食店や建設業の倒産・廃業を判断できます。
データ引用元:帝国データバンク
コロナ関連で廃業となった飲食店の事情
コロナ関連で廃業となった事業のうち、飲食業が最も多かった背景には、大人数での会食の自粛や人と人との距離を保つための収容人数の制限なども考えられます。このような時代背景に負けないビジネスモデルはあるのでしょうか。
コロナに影響を受けないフランチャイズビジネスの事例
ここでは、コロナでも成長しているビジネスモデルとして、フランチャイズ事業の事例を紹介します。
おひとり様を肯定した「ひとり焼肉」がコンセプトの焼き肉チェーン
フランチャイズチェーンの「焼肉ライク」は、コロナ禍の関西において、3号店目を開業し初月から黒字となっています。
その要因は、完全な「おひとり様に対応した焼肉店」という強みです。焼肉ライクの加盟店として関西で3店舗の出店で成功しているのが近畿日本鉄道グループ傘下の株式会社近鉄リテーリングです。
株式会社近鉄リテーリングは、近畿圏(大阪・奈良・京都・三重・愛知)の駅ナカにある飲食街の店舗展開を進めてきました。そのような大きなグループ企業が2019年に焼肉ライクをフランチャイザーとして加盟店になり、3店舗まで多店舗展開しています。近鉄リテーリングが展開する駅ナカ店舗は、7割が独自経営で3割がフランチャイズ加盟店です。その中のひとつとして「ひとり焼肉」がコロナ禍をものともせずに営業しています。
【焼肉キングの勝因】
- 未経験者でもすぐに調理担当ができるオペレーションのシンプル化
- 注文から3分以内でメニューの提供を可能にしている効率的な調理作業
- 新入社員が1カ月でマネジメントに携わるスピード教育
- スタッフが行うのは簡単な盛り付けと提供、客が帰った後の片付けだけ
- 元々おひとり様をコンセプトに設計された席間隔(ソーシャルディスタンス)
- 無煙ロースターが1席1台ずつ設置され換気能力も担保されている
- 換気能力は2分30秒間隔で客室全体の空気を入れ替えている
ウィズコロナとのマッチングを見事に成功させたフランチャイズビジネスモデルのひとつです。
参考データ:https://fc.dai.co.jp/articles/946
コロナに強いフランチャイズの本部が持つべき資質
従来の焼肉店で考えれば、団体席や宴会スペースなどの回転と注文数を増やして売上を伸ばすことが日常でした。つまり、焼肉屋は客単価を上げることで成り立っていた部分もあるでしょう。しかし、コロナ禍は、アルコールを伴う会食を自粛する方向へシフトしました。
この逆境を発想の転換で乗り越えたのが「おひとり様焼肉」です。コストの調整で導入したのは、調理場のシンプルさではないでしょうか。商品となる肉は、すべてカットされた状態から盛り付けるだけのシンプルさです。営業中に必要となる従業員の無駄を省いた店舗運営のオペレーションを見事に具現化したといえるでしょう。
では、このようにコロナ禍でも失敗しないフランチャイズとして加盟できる本部には、どのような資質があるのか紹介しましょう。
- 市場規模を見込んでいる企業
- 市場性の見込みを察知している企業
- 知名度とブランド力がある程度ある企業
- 経営方針が明確に伝わる企業
- 戦略がシンプルな企業
- サポート体制が徹底している企業
- 収益性の高さが魅力的な企業
上記にあげた資質を持った企業であれば、フランチャイズの加盟店の納得も期待できるのではないでしょうか。逆に言えば、「本部が何を考えているのかまったく理解できない」という印象を与えている状況だと難しいかもしれません。「焼肉ライク」の例で考えると、コンセプトがいたってシンプルです。
「おひとり様焼肉」を基準に店舗設計から従業員の配備、注文の導線、会計の導線などもすべて設計されています。コンセプトがシンプルだからこそ、すべての面において施策があてはまっていると考えられます。
フランチャイズビジネスのあるべき姿
フランチャイズビジネスのあるべき姿は、本部企業が潤うだけでは不十分です。いくら本部企業が安泰でも、軒並みに加盟店が契約終了となってしまえば、継続性の低いビジネスモデルとも判断できます。フランチャイズビジネスの大事な部分は、加盟店や加盟店で働く従業員、サービスを利用する顧客に至るまでシンプルに伝わるコンセプトではないでしょうか。
関係者が全員一貫してコンセプトを理解していることが納得につながります。いかにストレスの掛からない導線をつくるかがフランチャイズビジネスの土台づくりに必要となるでしょう。
まとめ
今回は、事例を参考に、コロナ禍でも負けないフランチャイズビジネスを紹介してきました。コロナ禍でも黒字を出している企業の特徴は、コロナ禍の顧客心理を先取りしていることです。主観的な独自経営の飲食店の場合は、顧客ニーズよりも自社の都合で施策を考えてしまいがちです。たとえば、居酒屋だからどうしてもアルコール類の注文を多くしたいなども考えられます。
しかし、顧客ニーズを無視した経営ではたちまち客足が遠のいてしまうでしょう。コロナ禍でも消費者は外食や旅行を楽しみたいのが本音です。コロナは、その本音を打ち消すほどの大きな社会問題となりました。誰もが仕方なく外食を控える中で、「このように楽しめば実現できる」という答えをサービス化することが重要ではないでしょうか。
飲食店の廃業が目立つ中、コロナ禍の成功事例は将来飲食店を開業したいと考えている人の励みになるでしょう。フランチャイズは成功すれば横展開のできるビジネスモデルでもあります。いかに時代の流れをくみ取っているか先々までを見越しているかが大きなポイントです。