フリーランスには事務所が必要?代理店を始める前の豆知識を紹介

「正社員として会社の歯車になりたくない」
「昇給の見込めない会社に依存したくない」

多様な働き方が一般的に浸透しつつある中、会社組織に属するよりも、自分らしく仕事をしたいと考えてフリーランスになる人もいます。フリーランスは、自由な働き方として注目されています。では、フリーランスの立場で代理店を始める場合、事務所などを構えたほうが良いのでしょうか。

今回は、ひとりで代理店として開業する際に、事務所の必要性はあるのかどうかについて解説します。フリーランスで事務所を借りるメリットやデメリットについて調べている人はお役立てください。

そもそもフリーランスとは


厚生労働省の定義によるとフリーランスは、次のような立場の人が該当します。

  • 実店舗を持たない事業者
  • 雇い人のいない自営業主
  • 雇い人のいないひとり社長
  • 自身の経験や知識・スキルの活用で収入を得る人
    ※出典:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000770084.pdf

そもそもフリーランスとはどのような立場なのか、不透明な部分があったかもしれません。たとえば、フリーランスをアルバイトパートのように捉えていたり、個人事業主と同じように捉えていたり明確な定義がないため認識は異なります。

厚生労働省によるフリーランスの定義では、特定の知識やスキルを持った「ひとり社長」や「自営業主」と示しています。その定義から判断すると、ひとりで運営できるビジネスに取り組む個人事業主のことを指すのではないでしょうか。

そのため、実店舗を持つ飲食店経営の個人事業主は、フリーランスに該当しません。また、コンビニなど店員の雇用が必要なオーナーもフリーランスではないでしょう。

フリーランスは、自分の知識やスキルを生かして対価を得る働き方です。たとえば、次のような人が考えられます。

  • プログラマー
  • デザイナー
  • アニメーター
  • 動画編集者
  • ライター
  • 写真家
  • エンジニア

など、これらの事業者はひとりで請け負った仕事をこなせる点が共通点です。フリーランスは、ひとりで仕事をこなす必要があるため、すべての面において自己責任となります。業務上、不足な部分があれば、外部事業者との協業も考えられます。

たとえば、企業の営業部門で経験を積み、自由な働き方としてフリーランスとなる人もいるでしょう。この場合、営業経験と知識を生かした働き方が理想的です。ただし、営業能力があっても売るものがなければビジネスは成り立ちません。不足な部分は、売るもの(商品やサービス)と考えられます。

そこで考えられるのは、外部事業者との協業(パートナー契約)です。自社で営業能力を持たない商品やサービスの開発企業ならば、両者のニーズが一致します。この関係性が代理店ビジネスで成り立つわけです。

フリーランスが代理店を始める場合

フリーランスが代理店を始める場合は、フリーランスの特徴を生かせる企業との代理店契約が必要です。たとえば、デザイナーであればデザイン担当者が不足するWeb制作会社というイメージになります。

代理店の場合は、代理店募集サイトなどで案件を紹介しています。募集サイトなどを活用すれば、希望条件に沿って案件を探すことが可能です。

  • 全国で募集
  • 初期費無料
  • 高収入
  • 在庫不要
  • 無店舗可

など、フリーランスとして優先したい条件でパートナー契約を交わす企業選びができます。

フリーランスで代理店を始める際の注意事項

フリーランスで代理店を始める場合は、会社組織の一員だったときと待遇が違うことに注意しましょう。たとえば、フリーランスのデザイナーが業務を委託する企業から仕事を発注されることも考えられます。その際、業務で使うパソコンや作業場所などの費用は委託報酬の中に含まれていると判断しなければなりません。

会社組織の一員であれば、会社からパソコンが支給されて作業場所も社内スペースなどを指定されるでしょう。フリーランスで代理店として業務委託の関係の場合は、業務で使用する機器や作業場所などはほとんど受注側負担となります。営業であれば、営業活動の移動で発生する交通費などが自己負担(代理店側経費)という判断です。

つまり、会社を退職したばかりのフリーランスの場合は、会社組織の一員ではないという再認識が必要ではないでしょうか。

フリーランスは事務所を構えるべきか


フリーランスは、かかる経費を自己負担する必要があります。当然、業務を行う場所も自己負担で用意しなければなりません。そこで考えられるのは、フリーランスが事務所を構える必要性です。

事務所を構えるメリット

フリーランスが事務所を構えるメリットは、次のような点になります。

  • 名刺に事務所の存在(所在地)を提示して信頼度が上がる
  • 将来的に法人化する場合の拠点にもなる
  • 仕事とプライベートのメリハリがつく

フリーランスが事務所を構えることは、周囲からの見られ方と考えられます。また、もっとも大きなメリットは仕事とプライベートのメリハリです。代理店開業とともに事務所を借りた場合、事務所に出社することで切り替えができます。それは、場所だけではなく経費の面でも職場とプライベートの経費を分類しやすくなるでしょう。

事務所を構えるデメリット

フリーランスが事務所を構えた場合、相応の経費が発生します。事務所を借りるのであれば、賃料や光熱費、事務所までの移動費(交通費やガソリン代など)などです。他にも業務内容次第で設備備品をそろえなければなりません。パソコンやプリンタ、電話、作業台など事務所開設の初期投資が考えられます。

事務所を構えるのは自宅

フリーランスが事務所を構える場合は、賃貸ではなく自宅兼事務所という方法もあります。事務所を構える場所を自宅にすることで、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

自宅のメリット

自宅を事務所に使うメリットは、次のとおりです。

  • 事務所家賃や光熱費などのコストを抑えられる
  • 移動コスト(交通費やガソリン代)を抑えられる
  • 自宅の家賃や光熱費を事業経費として一部振り分けられる

自宅を事務所にする場合は、コスト面で大きなメリットがあります。とくに、自宅の家賃や光熱費は按分計算で一部を事業コストに計上できます。また、家事や育児などを抱えている場合は、外出する必要はないため、家事や育児との併用がしやすくなるでしょう。

自宅のデメリット

自宅を事務所にするデメリットは、次のとおりです。

  • 自宅の環境次第で業務の生産性が落ちる
  • 自宅だと顧客を招いた対応が難しくなる

フリーランスが自宅を事務所として使う場合は、生活感との向き合いになります。生活感のある自宅では、業務の生産性を維持することが難しくなるでしょう。たとえば、子育て中の場合は子供の面倒で仕事を中断せざる負えなくなることも考えられます。また、生活感のある事務所では顧客を招いての商談のイメージダウンも考えられるでしょう。

まとめ

フリーランス・代理店を一人で始めるときの事務所は借りたほうがいいのか、自宅でできるのか、について解説してきました。

フリーランスが事務所を構えるメリットやデメリットから、自身の状況に置き換えて判断してみてください。自宅を事務所にする場合は、事務所の経費が大きく削減できます。
逆に、事務所を借りた場合は、ビジネスのメリハリを持たせられます。どちらが適しているかは、代理店の商材にもよるため、まずは取り組む案件選びから始めてみましょう。