フルコミッション営業は辛い?仕組みからメリットデメリットを解説
「時間を拘束されるよりも、成果主導で働きたい」
「完全歩合制の営業で実績を作りたい」
このような目標をもって営業の仕事に取り組み始める人がいるかもしれません。完全歩合で取り組む営業のことは、フルコミッション営業として存在します。フルコミッション営業のスタイルを採用しているビジネスモデルは、営業代行で見かけられます。
今回は、フルコミッション営業がビジネスモデルとして有益なのか、内容やメリット・デメリットについて解説します。また、フルコミッション営業は成果が出なければ報酬にならない特徴を持っています。その特徴から、「辛い業務なのか」についても説明するので、ぜひお役立てください。
フルコミッション営業の定義
営業の報酬体系のひとつには、フルコミッション営業があります。フルコミッション営業は、営業担当者に対して、業務の時間ではなく売上や実績で報酬が支払われる仕組みです。完全歩合制または完全出来高制のため、「成果が出なければ利益にならない」という特徴を持っています。
働いた作業量や時間は、報酬の査定となりません。フルコミッション営業は、成果のみに着目したビジネスモデルです。
歩合制とフルコミッション制は違う
フルコミッション制は、報酬を歩合で受け取る仕組みのため、歩合制と間違われる可能性があります。実際には、フルコミッション制と歩合制は異なるビジネスモデルです。フルコミッション制の営業は、以下の特徴を持っています。
会社との関係:パートナー関係
フルコミッション制は、営業に携わる会社と雇用契約を結びません。そのため、福利厚生などが期待できないパートナー関係となるでしょう。フルコミッションの場合は、業務に対しての固定報酬が設定されていないため、成果着地地点まで到達しなければ無給になってしまいます。この仕組みから、成果到達に対して自信がなければ収入の見込めないことが判断できます。
フルコミッション制を導入する企業は、営業代行を使う場合で考えられるでしょう。営業代行経験と能力に優れていることで成立するビジネスモデルです。
一方の、歩合制の営業は以下の特徴を持っています。
- 企業と雇用契約を結んだ関係
- 会社の従業員として固定給で設定
- 固定給+歩合(成果)で支給
歩合制は、会社に雇用されている社員の営業部門で使われる報酬体系です。成果が出ないとしても、最低限の固定給は保証されます。その保証部分があるかないかが大きな違いとなるでしょう。
フルコミッションは辛い営業なのか
完全歩合制のフルコミッション営業は、成果を出せなければ苦労が水の泡となってしまいます。つまり、労働に対して無報酬も考えられるでしょう。そのような状況が続いてしまえば、固定報酬の保証のないフルコミッション営業に対して、辛いと判断してしまいます。
歩合制を導入している場合は、固定報酬+出来高という固定報酬の保証があります。この視点だけで判断すると労働に見合わない報酬も考えられることから「辛い」というイメージを持つかもしれません。
ただし、あくまでも営業成果を出せない担当者の場合に限る話です。完全歩合制のフルコミッション営業は、歩合制の営業よりも高報酬が設定されている場合があります。無報酬のリスクだけでは、フルコミッション制営業の仕事に需要が見いだされません。営業活動を外部に依頼する企業側は、営業成果に対して報酬を支払う体制となっています。成果を出せれば、モチベーションも向上して辛い営業にならないと考えられます。
フルコミッション営業で営業活動をするメリット
それでは、フルコミッション営業で営業活動をする場合のメリットについて解説します。
自由に成果を追求できる
フルコミッションの場合は、完全歩合制の特徴から自由に成果を追求できるメリットがあります。営業を依頼する企業は、フルコミッション制を採用する企業に対して、成果が出なければ報酬を支払わないで済むでしょう。
固定報酬+出来高制の営業の場合は、固定報酬に対してノルマを設定していることが考えられます。雇用契約のもと、企業の一員として働く営業社員は成果を出さなくても固定報酬が保証されています。そのルールを逆に捉えれば、「成果がなくても固定報酬だけは受け取れる」という判断になるでしょう。
企業の多くは、固定報酬+歩合制を採用している営業部門に対して、固定報酬ルールで設定していることでしょう。それが月ごとの獲得ノルマ件数です。
業務委託の関係となるフルコミッション制の場合は、獲得ノルマ件数などなく成果に対してのみ報酬が発生します。
企業ビジネスとのマッチング次第では高額報酬も期待できる
フルコミッション営業の成果件数にノルマが設定されていないということは、成果獲得を上限なく追求できます。業務委託契約を交わす企業のビジネスに対して、自分の知見や経験を生かせれば、成果件数を伸ばすことも可能です。営業活動が軌道に乗ることで、高額報酬も期待できるでしょう。
フルコミッション制は、そのような可能性を持っているため、企業ビジネスとのマッチングが重要となります。
フルコミッション営業で営業活動をするデメリット
フルコミッション営業は、ノルマがない分自由に営業活動を行えるメリットを持っています。その反面、デメリットとなる部分があります。フルコミッション営業の大きな特徴として、成果が出なければ報酬がもらえないという仕組みから、ハイリスクハイリターンなビジネスモデルとも考えられるでしょう。
安定性がない
ハイリスクハイリターンなビジネスモデルは、獲得件数によって報酬が左右される状況とも言えます。つまり、収入面では、安定性のないビジネスモデルと考えられます。営業活動の中で、コンスタントな営業実績を積み重ねれば問題ありませんが、同じ手法で進めていくにつれやがて頭打ちの可能性もあるでしょう。そのようなリスクも考えたうえで、営業目標だけではなく扱う商材や営業先の調整も必要ではないでしょうか。
仕事スケジュールを管理しなければならない
フルコミッション営業は、依頼元企業と業務委託契約のパートナー関係になります。そのため、企業の管理下ではなく、請け負った事業者自身が仕事スケジュールを管理しなければなりません。
フルコミッション営業は、ノルマの設定がなく大きくも小さくも稼げます。それだけに、自己管理のできない人の場合は、無理な仕事スケジュールを組んでしまうかもしれません。すべては、自己管理能力を求められるため、スケジュール管理以外にも経費の自己負担なども必要となるでしょう。
まとめ
この記事では、「フルコミッション営業が辛い」と言われる点について解説してきました。フルコミッションの営業が辛いのは成果が出ない場合の話です。フルコミッション営業は、固定+歩合で固定報酬の保証がある営業に比べたら、大きく稼げるメリットもあります。
ただし、営業スキルと自己管理能力を持ち合わせていないと、仕事量の調整に失敗してしまうデメリットが考えられます。そのため、フルコミッション営業に取り組む場合は自分の得意な分野か、仕事スケジュール管理ができるかどうかを判断したうえで取り組みましょう。
フルコミッション営業は、総合的に考えると、自己管理能力と何かに特化した知見や経験を持っていることがポイントとなります。そのポイントが営業を依頼する企業ビジネスと一致することが必要です。