代理店営業とは?販路拡大を目指すために必要な2つの確認事項

事業を進めるにあたって、営業力で実際の成果を知りたくなることも考えられます。商材を開発する企業は、営業活動に投入するリソース不足が重要な課題です。最近では、代理店制度を活用した営業の業務委託なども注目されています。代理店制度の中でも、代理店営業という仕組みがあります。代理店営業とは、どのような役割を持つのでしょうか。

今回の記事では、代理店営業について解説します。代理店営業を活用した販路拡大とは、「どのような仕組みなのか」について、わかりやすく解説するのでご一読ください。

代理店営業の定義

ひとことで代理店と言っても、依頼する本部との関係性は契約内容次第と考えられます。一般的に代理店は、本部企業が代理店契約を結んだ事業者に特定の仕事を委託するパートナー関係のことです。本部企業は、自社で開発した商品やサービスを代理店契約で提携している事業者に販売委託します。

では、代理店営業とは、代理店契約を結んだ事業者が営業代行を担うことでしょうか。代理店営業は、法人相手の営業担当者です。

代理店営業は、法人相手の営業活動を担当します。商品やサービスを開発したメーカー本部の代理として営業するパートナー企業です。たとえば、次のような立場と考えられます。

「ワークフロー管理ツールを開発する企業A社と代理店契約を交わしたB社がパートナー企業がいたとします。B社は、ワークフロー管理ツールを顧客企業に間接販売するイメージです。

代理店営業は、自社の持つ販路で営業活動を行います。メーカー本部にとっては、販路拡大の役目を持つパートナー企業ではないでしょうか。

メーカーの代理としてメーカーの立場で動くシステムインテグレータ

代理店営業は、IT系のサービスでたとえるとシステムインテグレータの役割を持っています。いうなれば、SIer(システムインテグレータ)のような役割ではないでしょうか。

具体的には、日立製作所やNTTデータ、富士通などの大手企業などがメーカー系SIerとして活動しています。代理店営業は、メーカーの代理としてメーカーの立場となって活動します。

代理店営業に任せられる業務

代理店営業に任せられる業務は、以下のとおりです。

  • 顧客企業と販売契約を交わす立場の代理店に商材知識を提供
  • 顧客企業と販売契約を交わす立場の代理店に販売ノウハウの提供
  • 顧客企業と販売契約を交わす立場の代理店に販促用施策の提供

代理店営業は、自らも代理店として法人顧客への営業をするかたわら、代理店の営業支援も行います。他には、IT製品のメーカーの場合は、代理店営業に製品導入から運用、保守までを任せる場合もあります。

そのため、代理店営業はメーカー同等の製品やサービスに対しての知見が必要です。技術的な知識やBtoBのコミュニケーション力も求められる代理店営業は、メーカーのビジネスパートナーとして重要な関係であると判断できます。

代理店営業と直販営業


代理店営業の立場と比較する対象として直販営業があります。メーカーが代理店営業を介さず自社管轄の営業リソースを使って直接顧客に販売する仕組みです。直販営業は、メーカーの技術者が顧客企業に対して、設計から開発、運用、保守まで一気通貫でサービスを提供する際に活用できます。

とくに単価の高いBtoB製品の場合は、企業の衝動的な新規契約は簡単ではありません。メーカーの技術者だからこそ築ける信頼関係のようなものも関係します。そのような積み重ねた基盤を生かせるのが直販営業です。直販営業は、メーカーのリソース状況にも関係しているため、どの企業でも実現できるわけではありません。営業能力を兼ねそなえた技術者が求められます。

代理店営業に依頼するメリット

メーカー本部が代理店営業を活用するメリットは、次のとおりです。

経営リソースを抑えられる

メーカー本部は、不確実性の高い時代である昨今において、競合優位性に立つことが重要な目標となっています。不確実性の高い状況は、顧客ニーズの多様化を招き、あらゆるデータを駆使した製品開発が求められます。そのような状況では、メーカー本部が開発に重点をおく必要があるでしょう。

代理店営業は、メーカー本部に代わって販売だけではなく、製品の導入から運用、保守までを委ねられることが考えられます。メーカー本部は、代理店営業に委ねることで経営リソースを抑えることが可能です。

代理店の能力を活用できる

メーカー本部にとってのメリットは、代理店の能力を活用できる点です。代理店とは業務委託のパートナーの関係になります。メーカー本部は製品についての知見や開発実績を持っていますが、どのような訴求方法で取り組むべきか判断する能力は低いかもしれません。そこを補うのが代理店の役割です。

開発に注力しているメーカー本部であれば、なおのこと代理店に能力を活用する必要があります。代理店営業への依頼は、メーカー本部の持たない営業能力を生かせる点がメリットとなるでしょう。

代理店営業に依頼する際の注意点


代理店営業に依頼する場合は、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。

実行優先度は管理できない

自らの販路を持った代理店営業は、依頼されるメーカー本部主導で営業活動を行うとは限りません。どちらかというと、顧客都合で動くことが考えられます。そのため、営業活動を依頼するメーカー本部は代理店営業の実行優先度を管理できないでしょう。ただし、その分代理店営業の持つ販路を活用できます。

営業手法が自社に残らない

代理店営業に依頼することは、メーカー本部の営業能力が育たないことにもつながります。メーカー本部は、代理店営業の販路に委ねるだけではなく、導入から運用・保守まで任せることになるでしょう。つまり、メーカーは営業に携わらないことから、営業手法を代理店営業のもとから手に入れられない状態となります。その引き換えとして、製品開発に注力できる環境が得られるわけです。

代理店営業に依頼する際の確認事項


代理店営業に販路拡大を求める場合は、次の点の確認が必要です。

  • 商材を提供する企業ビジネスへの理解
  • 営業案件への優先度

依頼した代理店営業がメーカー本部のビジネスを理解していることは重要な確認事項と考えられます。代理店営業が製品の持つ強みを明確に理解していなければ、顧客企業の不満となるかもしれません。営業を依頼する本部企業は、自社製品の強みを明確化して、その訴求ポイントの共有が必要です。

また、営業案件への優先度は、代理店営業の「成果報酬に納得しているか」という点も考えられるでしょう。もし、報酬に対して満足していない場合は、優先的に取り組まない可能性があります。その点もふまえたか確認を契約前に行うことが必要です。

まとめ

今回は、代理店営業について、その業務内容や依頼する際のメリットなどを解説してきました。代理店制度は、メーカー本部企業と代理店が効率よく事業を進められるビジネススタイルです。IT製品をあつかうメーカー本部であれば、代理店営業とパートナー関係を築くことでより任せられる範囲が広がります。

将来的にも、メーカー本部の製品を熟知している代理店営業との関係性は、販路拡大の大きな力となるでしょう。その可能性が代理店営業の能力に秘められています。