代理店本舗とは?総本店の役割とメリット・デメリットを紹介


代理店制度を活用して販路拡大を目指していると、どうしても複数の代理店との関係が増えてしまいます。代理店の数が増えることは、営業範囲も広がるメリットとなるでしょう。ただし、本部企業にとっては代理店の管理という業務が考えられます。

このような本部企業の課題を解決する仕組みが代理店本舗または総本店の存在です。この記事では、代理店ビジネスの規模拡大に不可欠な本舗・総本店の仕組みについて解説します。総本店を中心に一次代理店や二次代理店と展開するビジネスモデルを検討している企業担当者はぜひお役立てください。

代理店の本舗(総本店)とは?

代理店制度の仕組みで耳にする言葉に代理店本舗や総本店などがあります。これらは、いったいどのような意味を持っているのでしょうか。代理店本舗や総本店にあたる「本店」とは、登記上は営業の中心となる本拠地をあらわします。ただし、本社とは必ず一致するものではないとの認識です。

税理士法人 小林会計事務所「横浜の会社設立サポートデスク」より

総本店は、その企業の営業活動を委託した代理店の中心的存在と考えられます。営業に限らず、製造やサービスなどのおおもとにあたる店舗とも言えるでしょう。代理店ビジネスにおける総本店屋本舗は、「総代理店」にあたると考えられます。

本舗の役割

本舗(総代理店)の役割は、本部企業が契約する代理店を統括管理する役割を持っています。本部企業の代わりに、複数の代理店の営業活動や進捗、売上管理、体制づくり、サポートなどを担当することが役目です。複数に増えた代理店を統括管理することが業務の中心となるため、直接顧客に向けて営業活動をしない立場でもあります。要するに、本部企業が複数の代理店をまとめて管理する役割を委託している組織と考えられるでしょう。

また、総本店は商材を提供する本部企業から代理店組織開拓も一任されている場合もあります。代理店組織の拡大で考えられる新規代理店の開拓も権限として付与されていれば、営業部門の頂点として大きな組織編成も担うことになるでしょう。

本舗を設置するメリット


本舗(総代理店)を設置するメリットは、代理店が増え続けても本部企業の負担は変わらないことではないでしょうか。ビジネスが拡大していけば、規模に応じてオフィスの移転や設備投資が必要となります。営業活動を担当する外部事業者の代理店が増えてくれば、本部企業にも「代理店統括部署」や「代理店サポートセンター」などを設置しなければなりません。

また、本舗はメーカー企業との距離がもっとも近いことから、独占販売権を与えられる可能性もあります。独占販売権は、差別化できる企業の強みとも考えられるため、そのメリットだけでも訴求効果を期待できるでしょう。

代理店ビジネスを展開するメーカー企業は、自社商材の開発に注力できる環境を整えることを優先します。せっかく外部事業者と代理店契約を交わしても、複数の代理店が集まればその事業者を管理する部門を創設しなければなりません。社内にそのような専門部署を置くことで余計なコストが掛かるでしょう。

総代理店は、本来自社で設置する代理店を統括する部署の役割となる管理業務の委託になります。つまり、自社のリソース規模を拡大しないで、外部に代理店を統括する仕組みの設置が可能です。代理店が増えることで統括する総代理店の二次組織を作れば複数の組織管理も可能ではないでしょうか。

本舗が管理する代理店とは


本舗(総代理店)が管理する二次組織となる代理店とは、どのような代理店でしょうか。本舗が中心となって複数の代理店を統括する仕組みは、ピラミッド型で構成されています。代理店の中心となる本舗を頂点に、一次代理店や二次代理店とピラミッド構成で代理店ビジネスを展開します。

一次代理店

一次代理店は、本舗(総代理店)と契約して本部企業の商材を販売する権利を与えられる直轄の代理店です。企業によっては、メーカー企業と直接契約する場合も考えられます。企業の組織構成や代理店ビジネスの仕組みによっても立場が変わってきます。中には、総代理店としての役割を一次代理店が担うこともあるでしょう。

共通することは、ピラミッド型の構成の中に二次代理店を傘下とできる点です。二次代理店を傘下にすることは、直接顧客との営業活動を二次代理店の役割として上部の総代理店やメーカーとの橋渡し的な役割を持ちます。

二次代理店

二次代理店は、ピラミッド型の組織構成において一次代理店を上部組織として持つ立場です。基本的には、一次代理店のサポートを受けながら、管轄エリアの販売網を開拓します。管轄エリアが大きければ、二次代理店の傘下に三次代理店を設けることも考えられるでしょう。

複数の代理店を抱えること


本部企業にとっては、総本店を設置して傘下代理店の管理を任せる仕組みがどのようなメリット・デメリットをもたらすでしょうか。ここでは、本部企業が複数の代理店を抱えるメリットやデメリットについて説明します。

複数の代理店を抱えるメリット

本部企業が、複数の代理店を抱えるメリットは、以下のとおりです。

固定費の追加投入の必要がなくリソースを集中できる
自社の販路だけではなく新規開拓が見込める

最初の部分でも触れましたが、複数の代理店を抱えることは固定費の追加投入の必要がなく、販路を拡大できます。営業担当のリソースを外部に複数委ねることで、自社リソースへの人材補充や教育、出張所の設置などが不要となるでしょう。

そのため、複数の代理店を抱えることは、固定費を抑えた販路拡大が見込めます。本部企業は、自社リソースを製品開発に集中投入できるため、製品の品質向上に掛ける時間を増加できるでしょう。

また、複数の代理店を抱えることは従来定着している自社の営業エリアだけではなく、新規開拓の機会創出となる点が考えられます。たとえば、首都圏を中心に展開している本部企業が全国各地で代理店契約を展開できれば、新規開拓が見込めます。営業活動は、実際に行動しなければ成果が見えてこない部分もあるため、複数の代理店による営業エリアの拡大は大きな期待が持てるでしょう。

複数の代理店を抱えるデメリット

本部企業が複数の代理店を抱えた場合、良い面ばかりではありません。契約した代理店によっては、見込んだ売上に到達しないこともあり得ます。また、代理店は自社組織の社員ではないため、契約内容次第では関係性が終了してしまうことも考えられるでしょう。競合が自社で提示していた報酬体系よりも魅力的な提案で代理店を募集した場合は、見限られるかもしれません。本部企業と代理店は、契約関係で成り立つビジネスモデルです。契約に記載のない内容でつなぎとめておけない点がデメリットにあたります。

まとめ

この記事では、代理店ビジネスの仕組みとなる本舗や総本店の概念について解説してきました。代理店ビジネスは、ピラミッド型で構成された組織によってそれぞれの立場の代理店が役割を果たします。それにより、商材を提供する本部企業を起点に総本店から一次代理店、二次代理店と明確な立場で業務に集中できるでしょう。

担当範囲や実行範囲が明確であれば。横展開で組織が拡大しても再現性は保たれます。本部企業は、競争優位性に立つ手段として、総代理店の設置を検討してみてはいかがでしょうか。