知って得する!確定申告の2022年度分に関わる変更点を紹介
代理店として開業した個人事業主にとって、確定申告は欠かせない年1回の義務です。今回の記事では、2022年度分の確定申告についてガイダンスします。2022年度分の確定申告の期限や、2022年に変更となった部分と2023年の申告時から変更となる部分などを解説しましょう。副業で代理店ビジネスをしている人や個人で開業している人も、ヒントにお役立てください。
2022年度分の確定申告の期限
2022年度(2022年1月1日~12月31日)の期間における確定申告の期限は、以下の期間内で申告書の提出が必要です。
2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)
上記期間内に、所轄の税務署への申告する必要があります。上記にあげた期限が土日祝日などにあたった場合は、翌日が期限になる仕組みです。申告自体の受付は、2月1日より開始となっています。
また、消費税の納付に関しては、個人事業主の場合、2023年(令和5年)3月31日(金)までが申告と納税の期限です。法人で代理店として業務委託をしていた場合は、事業年度終了から2カ月以内と定められています。申告期間や納付期限は、例年と変わりありません。
データ参照元URL:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/06_1.htm
期日までに申告できなかった場合
確定申告の期日までに申告できなかった場合は、期限後申告の対象となります。期限後申告の対象者は、延滞税や無申告加算税が加算されます。ちなみに延滞税は、納付期限より遅れた日数分、納税額に対して最大で14.6%加算されるでしょう。また、無申告加算税は、納税額の15%と50万円を超える部分について20%の支払いが求められます。
2022年より変更になった部分
2022年(2021年度分の申告)より、税制改正で変更となった部分を紹介しましょう。
押印の廃止
2022年より申告書書面への押印は、廃止されました。そのため、申告書類の提出時に印鑑の押し忘れなどで提出が遅れる心配がなくなります。脱ハンコの取り組みが現在の確定申告には反映されている状況です。
住宅ローン控除および控除期間の延長
2021年は、コロナ禍の事情をふまえて住宅ローン控除や控除期間が延長されました。控除期間は、特例特別取得により13年間控除の規定が2022年4月末日まで延長されました。さらに特例に該当する対象者は、追加特例として控除対象の床面積の規定が緩められます。控除申請者の年間合計所得金額が1,000万円以下の年においては、床面積50平方メートルの住宅も控除対象として適用されます。
一定の市販医薬品購入費用控除
医療負担における控除では、定期的に服用している医薬品を医療機関ではなく、薬局などで購入できる市販薬にも適用されます。一定の要件を満たして市販のOTC医薬品に切り替えた場合、セルフメディケーション税制により購入費用も所得控除対象となるでしょう。
保育目的の助成などが非課税対象
2022年の確定申告から、子育て中の事業者に対して保育目的の助成を非課税対象にする措置がとられています。具体的には、以下の利用料金が助成の対象です。
ふるさと納税証明書の電子処理
2022年より、ふるさと納税を利用した人がそれぞれの自治体で証明書を作成する手間がなくなりました。ふるさと納税の公式サイトから電子処理される証明書の提示で済みます。
2023年の確定申告より変更する部分
2023年に実施される2022年度分の確定申告では、さらなる業務効率化に向けた変更が見られます。申告書類の簡素化だけではなく、控除項目における見直しもあります。
確定申告書A書式が廃止
従来の確定申告の提出書類では、確定申告書Aと確定申告書Bの書式を2つ提出する必要がありました。2023年の確定申告では、確定申告書Aと確定申告書Bがひとつにまとめられたため、確定申告書A書式は廃止になるでしょう。A、Bと区分する必要なくなり確定申告書としてひとつのフォーマットに集約されます。
確定申告書の第一表に修正申告が追加
AとBの区分がなくなった確定申告書では、第一表に項目が追加されます。追加される項目は、「修正申告」です。修正申告の追加では、修正前の税額から増加となる税額の記載が可能です。
一定の雑所得も収支内訳書の提出が必要(白色申告)
白色申告の個人事業主の場合は、いままで事業所得や不動産所得以外の年金などの雑所得の内訳が不要でした。2023年の申告から、一定の雑所得においても収支内訳書の提出が必要です。
ただし、条件として副業など営利を目的にした業務で得た所得が対象となります。対象となる所得は、前々年度の売上高が1,000万円以上と定められています。
確定申告書における書面追加部分や内訳書の提出などは、国税庁による2023年実施予定の案となっています。
データ参照元URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/pdf/0022006-199.pdf
住宅ローン控除に関する見直し
2023年に実施される確定申告から、住宅ローン控除に関する要件が見直されます。2022年(令和4年)内に住宅ローンを組んだ人で、その当人が居住する住宅が対象です。住宅ローン控除に関する見直し部分は、次の項目となっています。
2023年の確定申告より、住宅ローン減税の控除率は現状より0.3 %下がります。
居住用財産に関する見直し
子供の成長などで利用人数の少なくなった場合は、居住用財産の見直しとして住宅の買い替えなどが考えられます。2023年より住宅の買い替えなどに関して、特例が設けられました。住宅の買い替えで生じた売却益は、一定の要件をクリアすれば課税を繰り延べできます。
たとえば、住宅ローンが残っている中、所有する住宅を2,000万円で売却したとしましょう。売却した住宅よりも部屋数の少ない物件を1,500万円で購入したとします。その際、差し引き500万円の売却益が発生します。
売却益は、所得として申告しなければなりません。ただし、あらたに制定された特例「特定の居住用財産の買替及び交換の場合の長期譲渡所得の課税特例」が適用されます。特例では、買い替え後の住宅を売却するまで、売却益の500万円に対して課税を持ちこしてくれる内容です。
特例の内容では、期限を2023年12月31日までに買い替えた住宅として当初の予定より適用期間を2年延長しています。買い替え後の住宅には、省エネルギー基準を満たしていることも条件となっています。今後、深刻化する少子高齢化に向けた対策とも考えられるでしょう。
電子データによる添付書面の提出
いままでの確定申告では、控除対象により別途添付書類が必要でした。2023年の確定申告より、社会保険料や小規模企業共済などの控除まで電子データによる提出ができます。
すでに、生命保険料の控除など電子データ添付が可能です。控除対象となる項目を証明するデータの電子化は大幅に進んでいます。
まとめ
今回の記事では、2022年度分の確定申告について2022年から変更となった部分や2023年の申告時から変更となる部分を紹介してきました。2022年より申告書への押印が不要となり、2023年の申告では、書式のひとつが廃止されます。また、電子データ添付による提出で済むなど確定申告の効率が高くなっています。確定申告は、その年ごとに変更されていく部分があるため、控除される点や提出方法の改善など、最新の情報を入手しましょう。