代理店経営の手引き!経営戦略に必要な目標設定とは?
商材を提供する側も、業務委託する側も効率の良いビジネスが期待できる代理店。代理店経営は、法人や個人にとって販路拡大の可能性があるビジネス形式です。
「代理店を経営するにあたって、どのような進め方があるのか」
「代理店経営は何に注意すべきなのか」
今回は、代理店経営で必要なことや注意点などを分かりやすく解説します。代理店経営の手引きとしてお役立てください。
代理店経営に必要なのは経営計画
代理店経営は、計画的に進めなければ始まりません。その理由は、従来の経営と異なり、代理店の負担となる部分が低くなるため、手軽に進めてしまうと失敗してしまうからです。
代理店としてビジネスを確立する場合は、将来的にどのような経営者になりたいか、具体的なビジョンが必要ではないでしょうか。そこで経営計画を立案するにあたって2つのポイントを紹介します。
ビジョンの精度を向上
代理店経営に必要な経営計画では、ビジョンの精度向上が考えられます。ビジョンの精度向上には、2つのポイントがあります。
- ビジョンと計画が連動していない状態
- ビジョンや戦略に関係のない数値目標
ただ何となく、流行っているからという理由で代理店ビジネスを始めるのであれば、継続は難しいかもしれません。代理店ビジネスの特徴を理解して、明確なビジョンを作ることが継続の秘訣(ひけつ)だと考えられます。自社の代理店店舗に従業員が必要であればなおさらです。
従業員がビジョンを把握していなければ、課題に対しての判断は企業の考えと一致しないかもしれません。代理店の経営トップは、その辺のズレの一致で、ビジョンと計画を連動する必要があります。また、他の企業が掲げている数値目標だからと、根拠のない数値をビジョンに反映させないことも大事です。
現状の把握
代理店経営は、現状の把握ができなければ経営計画を進められません。「どのような代理店になりたいか」を決める際は、現状を理解してから始める必要があります。現状の把握として明確にすべきポイントは、次の3つです。
- 現在の状態(例:市場動向や消費活動の状況など)
- 直近で起こりそうな状況(例:市場に出してどのような反応が期待できるのかなど)
- 競合の動向(例:あつかう商材について競合の動向はどのようになっているかなど)
これらのポイントを明確にしたうえで、現在すべき行動を決定します。代理店経営では、今やるべき行動を決定することが経営計画として重要です。
代理店経営に必要な3つの指標
代理店経営は、3つの指標を明確にすることが経営の原動力へとつながります。3つの指標とは、次のとおりです。
経営理念
経営理念は、企業の経営活動の意味を明確にすること。経営活動は、企業の方向性とも考えられます。経営活動の方向性があやふやな状態では、経営の一貫性を保てません。
ビジョン
先述したビジョン(Vision)は、展望や理想像、未来像という意味を持っています。ビジョンは、企業の将来のあるべき姿ともいうべきでしょうか。未来に設定する前向きな経営方針でもあります。
行動指針
行動指針は、企業の事業全般における基本方針です。従業員の多い店舗の場合は、この基本方針が明確であれば、業務の一貫性を保てます。経営者にしても見失いがちな基本行動を正すために使える判断基準です。
代理店経営に必要な方向性
代理店経営に必要な方向性は、経営方針と目標設定によって定まります。いうなれば、この2つの指針が明確であれば、経営がブレることがありません。代理店企業全体で基本的な考え方を共通認識することが大事です。
経営方針
経営方針と目標設定のどちらも企業の目標ともいえます。経営方針は、前述した経営理念と重複する部分があります。企業の目指すゴールをイメージできるテーマになるでしょう。
目標設定
目標設定は、経営方針で定めた目標をさらに数値化して定量的に目指すことです。目標設定は、一般的な企業の場合は、経営層からの経営方針に沿って取締役会で具体的な目標が設定されます。
代理店経営に必要な環境分析
代理店経営には、環境分析が必要です。
環境分析に役立つフレームワーク
環境分析には、自社を取りまく現状を明確にします。その際に活用する分析手段としてフレームワークを活用します。
内部環境分析
内部環境の分析項目は、次のとおりです。
価値連鎖の分析:バリューチェーン、ビジネスプロセス
業績構造の分析:利益を生み出す内部構造
これらの分析から、自社の強みや自社の弱みを明確にします。活用するフレームワークは次のとおりです。
SWOT分析:自社の強み、弱み、機会、脅威の4要素をかけ合わせて打ち出すフレームワーク
VRIO分析:経済価値、希少性、模倣困難性、組織の4要素で分析するフレームワーク
外部環境分析
外部環境分析は、自社を取りまく外的要因に着目した分析手段です。たとえば、類似商材をあつかう競合他社の動向や商品やサービスの市場、消費行動を起こす対象顧客のことなどが考えられます。外的環境分析で活用するフレームワークは、次のとおりです。
3C分析:市場・顧客、競合、自社の3つの視点で分析するフレームワーク
5フォース分析:既存の競合、新規参入他社、代替品、買い手の交渉力、売り手の交渉力など5つの要素で分析するフレームワーク
前述したSWOT分析や3C分析の要素は、内・外環境要因を同時に分析できます。
代理店経営に必要な経営戦略
代理店経営には、戦略的な進め方が必要になってきます。戦略的に物事を進める場合は、関係者の共通認識できる指標が必要です。その指標が数値目標であることは否定できません。
現代は、属人的なスローガンで実益を生み出す時代ではなく、定量的な指標で複数の担当者が実行する計画性のある経営戦略が必要ではないでしょうか。
代理店経営で注意すべきこと
代理店経営では、次の点に注意が必要です。
目標設定は精神論ではなく具体的に作る
先述した目標設定では、注意すべき点があります。それは、精神論ではなく具体的な目標を設定することです。設定する目標が具体的でないと、単なるスローガンになってしまいます。経営方針をスローガンとして、そのスローガンを具体化した数値が目標というイメージです。
目標設定は、実現できるかどうか不透明な目標ではなく、その目標をどのように達成するのか深掘りした数値設定が求められます。たとえば、次のようなイメージです。
- 顧客数を現状から何人増加させるか
- 商談顧客に対しての具体的な契約獲得数
- 契約ごとの手数料の単価を上げる
数値設定から、さらに深掘りするイメージで進めます。深掘りした数値に到達するための取り組みなども設定していくことで、実現可能な目標数値まで落とし込まれるでしょう。
まとめ
今回は、代理店経営をする上での手引きを紹介してきました。代理店経営は、戦略的に行う必要があります。その理由となるポイントがビジョンや経営方針の明確化です。精神論的なスローガンでは、何をどこまで実行すれば良いか具体的ではありません。そこで数値目標は、経営方針と連動していることを前提に役立ちます。ぜひ、代理店の経営にも役立ててみてください。