代理店の契約はここに注意!損をしない契約に必要な6つのチェック

代理店は、開業資金の掛からない案件からロイヤリティのない案件まで敷居の低さが注目されている要因です。本業収入だけでは将来に不安をかかえているビジネスマンにとって、代理店で開業することも増えることが考えられます。

ただし、代理店の契約には注意が必要です。やみくもに契約してしまって、後日「契約書にサインしてしまった」と、頭を抱えてしまうことのないように、知っておくべきポイントを紹介しましょう。

今回の記事では、代理店を始める前に契約書の注意点を知って、損をしない契約をするためのポイントを6つ紹介します。代理店選びと一緒に知識として役立ててください。

販売店か代理店かチェック

代理店契約の際に注意すべきことは、本部と契約しようとしている関係が代理店なのか?販売店なのかという点です。本部から提示されている代理店ビジネスの内容自体が気づかぬうちに販売店として契約しているケースも少なくありません。

代理店制度のビジネスに初めて参入する人は、本部企業の営業担当より「代理店」という呼び名でその気になってしまうことが考えられます。詳細は、契約書で定められている業務契約関係にあります。販売店と代理店では、法的な意味合いを持つほど区別されているのが現状です。なぜ、間違う可能性があるのかという部分では、代理店のことを販売代理店と呼ぶため、販売店と販売代理店が混同してしまうからです。

販売代理店は、販売活動のみを代理して行い、売買契約に至った顧客を本部へ送客する業務形式になるでしょう。一方の販売店は、本部より商材となる製品を購入(仕入れ)して自社責任において販売します。販売による差益を得る形式が販売店です。

代理店は、あくまでも本部から商材の仕入れをしないため、在庫を抱えません。在庫を抱えないため、本部に送客した顧客が売買成立となった時点で設定された手数料を受け取る仕組みです。簡単には、仕入れが必要なのは販売店で仕入れが不要なのは代理店と覚えておいても良いでしょう。

販売権と代理権の内容が明確になっているかチェック

代理店に対して、本部が販売権と代理権をどこまで与えるかが重要です。本部企業によっては、販売権や代理権の部分をあいまいに説明して、売買契約が成立したときに「契約上、販売権のない製品を販売している」や「担当エリア外の顧客に販売してしまった」などと、事後報告で契約書を持ち出してくるケースも考えられます。

とくにインターネットを介して交わす本部と代理店の関係は、契約書に示されていることが重要です。一次代理店や二次代理店などで組織構成されている場合であれば、尚更契約上のテリトリーや独占権などを事前確認しておく必要があります。

独占権のある契約の場合は最低購入義務の設定があるかチェック


代理店契約の中でも一次代理店など本部に最も近い影響力のある立場の場合、独占権を与えられて他の代理店より有利な条件のもとビジネスを展開できます。メリット部分も大きいですが、その分の独占権に対して掛かる最低購入義務などの設定も考えられます。

独占販売できる分、最低月に100本とか1,000個とか、仕入れノルマになる最低購入義務を明確に定められているかもしれません。契約書で定めらている場合は、最低購入義務を満たさなかった場合は、どのようなペナルティを課せられるかをチェックしておく必要があります。

ブランド使用への注意事項が明記されているかチェック

ブランド力のある本部企業の場合は、代理店がブランド使用(ロゴやキャッチコピーなど)しても良い範囲を契約書で確認しておく必要があります。ブランド使用について、契約書で明記していない場合は本部の意向に沿わない販売方法で獲得した案件に対して後日トラブルへと発展することも考えられます。

とくに二次代理店や三次代理店など組織構成が広がる仕組みの場合は、本部のブランドを都合よく使って、ブランドイメージを落とす行為で営業成績を上げてしまうかもしれません。

また、契約書には、商標登録されているロゴを本部に許可なく使用してしまったときの処遇などが記載されていることも考えられます。事前のチェックは必要です。

再販価格と独占禁止法の明記はあるかチェック

もし、契約しようとしている内容が仕入れを必要としている販売店の場合は、再販価格や独占禁止法が関わってきます。在庫を抱えて仕入れ値に独自の価格設定が許される契約に同意した場合、販売店として再販価格を設定できます。

本部企業が「この製品は、〇〇円でなければ販売してはいけない」という制限で拘束したときは、独占禁止法に違反する可能性もあります。販売店として在庫を抱えた場合は、販売店の価格設定が優先される仕組みです。

契約期間のチェック

代理店ビジネスに独占権を与える場合は、契約上本部に近い立場となり、優遇された条件のもとでビジネスを展開できます。それだけに、本部の思惑通りの成果を出せないときの対処として、契約期間の設定で定期的な継続の見直しが行われます。

独占権を与えられたことで安心できない状態とも考えられるため、契約期間の有無について事前のチェックが必要です。

販売代理店と販売店の違い


販売店と販売代理店は、間違えやすいため、契約において誤解を招く可能性が高くなるでしょう。ここでは、そのような誤解を招かないための違いを解説します。

販売代理店

販売代理店の特徴は、次のとおりです。

損益の帰属先:商材を提供する本部企業
利益:商材を提供する本部企業から支払われる手数料
商材となる製品やサービスの引き渡し:本部企業から顧客へ
商材の代金支払い:顧客から本部企業へ

販売店

販売店の特徴は、次のとおりです。

損益の帰属先:販売店
利益:販売により得た利益
商材となる製品やサービスの引き渡し:販売店から顧客へ
商材の代金支払い:顧客から販売店へ

参考資料:独立行政法人日本貿易振興機構

代理店(販売代理店)として契約する際の仕組み

代理店(販売代理店)として契約する際の仕組みは、本部から外部パートナーになる個人や法人に対して、販売権を与えることです。つまり、代理店となるパートナーは、販売を代理することが役目になるでしょう。そのため、契約内容には、本部企業の代わりに販売する内容で記載されていると判断できます。

ただし、本部に業績を認められて、一次代理店としてあらゆる権利を与えられる場合もあります。その際は、二次代理店を管理したり、業績へのノルマなどを課せられたりすることも新たな契約として考えられるでしょう。代理店契約は、その都度の確認がお互いの誤解を生まない対処になります。

まとめ

今回の記事では、代理店の契約における注意点を6つ、紹介してきました。時代の流れにより、オンライン上で電子契約を締結させて本部と代理店の契約が始まることも少なくありません。契約の際に、冗長で難しい言いまわしの内容であっても、運営後に起きうる可能性のあるトラブルを回避するために、契約内容の熟読は、欠かせないでしょう。

代理店を募集する企業にしても、応募する個人や法人にしても、さまざまな思惑があります。お互いに納得の上でパートナー関係を築き、ウィンウィンでビジネスを進められるように、契約書の事前チェックは重要です。