加盟店と契約前に要確認!フランチャイズの契約書作成4つのポイント
フランチャイズビジネスを展開しようとしている企業は、自社とパートナー関係を持つ加盟店に対してフランチャイズ契約を交わす必要があります。このフランチャイズ契約こそが、フランチャイズビジネスの主軸といっても過言ではありません。加盟店と交わす契約が不十分であると、たちまち運営においてトラブルも考えられます。
今回の記事では、フランチャイズの加盟との契約で気をつける契約書作成の4つのポイントを解説します。フランチャイズ契約は、加盟店の協力を強固なものにする内容であることが求められます。短期的な収益ではなく、関係が続くことで双方がメリットを得られるルールを設定しましょう。これから伸びていくフランチャイズ展開の土台作りにもなります。ぜひ最後まで読んで契約時のチェック資料としてお役立てください。
加盟店と交わすフランチャイズ契約書の定義
フランチャイズビジネスを展開するには、本部企業の商材を本部企業の意向に沿って販売したり、サービス提供したりする加盟店の存在が不可欠です。そのような条件を理解し協力してくれる加盟店を増やすことでビジネスが拡大してきます。そのため、加盟店と交わすフランチャイズ契約は、とても重要な契約です。
フランチャイズ契約書は、加盟店と本部企業のブランド(商標)やビジネスノウハウの使用許諾権を交わす契約書になります。その取り決めから、本部提供の内容や加盟店が使用できる内容などがこと細かく設定可能です。
細かく内容を設定する必要のある理由は、加盟店に求めるロイヤリテイや加盟金、あるいは研修費などの商標権使用料の妥当性が考えられます。自社ブランド名や商品・サービス、運営ノウハウ、マニュアルなどを提供するにあたって、手数料として支払ってもらう金額が妥当かどうかです。この妥当性に関しては、双方の納得できる仕組みが求められるでしょう。
契約書に記載する項目
フランチャイズビジネスで交わす契約書は、ビジネスモデルによって異なってきます。一概には、断定できませんが、一般的なフランチャイズ契約で盛り込まれている契約項目は次のとおりです。
契約目的:本部企業のビジョン、社会貢献への意義、加盟店との関係性の在り方など
フランチャイジビジネスの説明:ビジネスモデルの内容(商品、サービスなど)
加盟店の立場についての説明:加盟店が独立事業者であること(経営責任の所在)
商標使用権についての説明:店舗ロゴなど本部提供の商標に対しての使用制限の説明
本部提供のノウハウの帰属先:本部が開発したノウハウの帰属先は本部であることの説明
運営マニュアルについてのルール:マニュアルを遵守して運営する義務がある点の説明
フランチャイズ加盟店が全チェーンで統一しなくてはならない項目:顧客対応や制服など
各種指導についての説明:開店時の本部支援、運営時の支援体制などの説明
加盟店が遵守するルール:営業日、営業時間、営業エリア、情報管理の取扱いなどのルール
加盟店による競業の禁止について:本部提供の商材やノウハウを使用した同業種の事業を行うことについての制限
フランチャイズ契約権の第三者譲渡の禁止:フランチャイズ契約を交わした加盟店が第三者に委託する行為や譲渡することを禁止する取り決め
本部の立ち入り調査の説明:本部が状況に応じて立ち入り調査をすることに対しての案内
加盟店が本部に支払う手数料について:加盟金、ロイヤリテイ、システム使用料など加盟店の本部への負担を明記
秘密保持:運営で得た情報についての秘密保持義務
加盟店への商材供給条件:本部が加盟店に供給する商品やサービスの取扱い条件
広告掲載分担金の取り決め:本部が出稿する広告に対しての掲載費用を加盟店側が分担する場合の取り決め
会計データの開示について:加盟店の会計データを本部に報告する場合の帳簿提出義務
契約期間の明示:契約期間と契約延長についての説明
中途解約についての案内:契約期間中の中途解約についてのペナルティ(違約金)や考慮事項など
加盟店への契約解除ルール:本部が加盟店に対して契約解除を求められるルールの説明
連帯保証:加盟店に連帯保証を求める必要がある場合の取り決め
契約終了後のルール:契約終了後の商標使用やノウハウの使用についての禁止など
契約違反時のルール:加盟店の契約違反が発覚したときの損害賠償(違約金など)についての説明
ここで紹介した項目以外にも、フランチャイズの業種や企業により取り交す内容が異なってきます。契約項目は、契約トラブルを考慮している分増えてくる可能性があるでしょう。
契約書作成前に確認しておくべき4つのポイント
フランチャイズビジネスでは、契約書を作成する前に確認しておくべきポイントがあります。
本部が提供するノウハウ・マニュアルについてのルール
本部が提供するノウハウやマニュアルは、既存加盟店の成功例で実証されていれば価値を抱く加盟店検討者も少なくないでしょう。本部企業を目指しているのであれば、加盟店に提供するノウハウやマニュアルは再現性の高いレベルまで精査しなければなりません。不十分なノウハウを提供した場合は、加盟店とトラブルになることも考えられます。ノウハウについては、加盟店が支払うロイヤリテイに見合っていることも目安となるでしょう。
本部のブランド「商標」の使用許可についてのルール
加盟店には、本部が使用を許可する商標の取扱いルールを定めておく必要があります。商標の独自修正や指定エリア以外での使用など、商標の取扱い条件の設定です。
ロイヤリテイの計算方法について取り決め
加盟店から支払われるロイヤリテイの仕組みについて、計算方法を明記しておくことで本部と加盟店の共通認識の基準となります。基本的には、定額制か売上変動制かで分類されるでしょう。
店舗型の場合は開店時の内装及び設備についてのルール
店舗型のフランチャイズの場合は、店舗オープン時の開店コスト(内装工事や設備など)の負担についても明示しておく必要があります。加盟店に対して、参入障壁を低くするのであれば、開業時のコスト負担をかけさせずに本部負担にすることも考えられるでしょう。
加盟店に対して、ある程度の初期投資を回収できる売り上げ見込みを訴求できるのであれば、加盟店側に回転コストを負担させる場合もあります。この判断は、本部のブランド力によって異なるでしょう。
まとめ
ここまで、フランチャイズ加盟で気をつける契約書作成のポイントを4つ紹介してきました。フランチャイズ契約は、賃貸借的要素のある契約にかたよってしまいがちです。本部企業が開発した商材やビジネスノウハウなどを使って運営してもらうだけに、厳しい内容も考えられます。
ただし、フランチャイズは、本部と加盟店どちらも存在しなければ成り立たないビジネスモデルです。どちらも目先の利益だけを追求するのではなく、長期目線で捉えた双方が目的を達成できる契約内容が求められます。成功モデルなども参考にした、加盟店のモチベーションが上がる部分も必要ではないでしょうか。フランチャイズは、契約書の作成次第でその後を大きく左右するため、将来も加味した考え方で作成してみましょう。