代理店には種類がある 代理店と取次店の違いをわかりやすく解説します。


出社しない働き方、隣の席の同僚と内緒話のできないオンライン打ち合わせなど、いまや生活様式が変わっている現状です。そのような状況において、代理店ビジネスの需要が高まっています。

今回は、代理店の種類について解説します。代理店ビジネスを検討中の起業予備軍の方は、参考にしてみてください。

代理店について定義を紹介

代理店ビジネスについて、定義は次のようになっています。

特定の会社と契約を結び、商取引の代理や仲介をする商店

参照元:オックスフォードランゲージ

代理店は、企業との契約にもとづいて、種類が分かれるビジネスモデルです。代理店の基本となる部分は、商材やビジネスノウハウを提供するメーカー(本部)との契約からはじまります。そのためすべての代理店に共通することは、メーカーとの契約を軸にして、さまざまなビジネス形式を展開する点です。代理店について、大枠で分類すると次の5つに分けられます。

  • 販売代理店
  • 一次理店と二次代理店
  • 取次代理店
  • OEM
  • フランチャイズ
  • 業務委託

メーカーと商品販売の代理契約する「販売代理店」


販売代理店は、代理店の標準モデルとなる形態です。販売代理店のことを「代理店」、「再販代理店」、「リセラー」と呼ぶこともあります。販売代理店の基本スタイルは、メーカーであつかう商材を代理で販売することです。

販売代理店は、直接の顧客対応により、商品やサービスを販売します。それにより、メーカーから販売手数料が入る仕組みです。販売代理店もメーカーとの契約内容により分類できます。

  • 正規代理店
  • 総代理店
  • 特約店

メーカーの正規商品を取り扱う証明となる「正規代理店」

正規代理店とは、メーカーから商品を正式に扱うことを許可されている販売代理店です。類似品や模倣品の多い商品を扱う代理店では、ホンモノを扱っていることを証明する効果になります。

メーカーの商品を独占して販売する「総代理店」

総代理店は、メーカーの商品を基準にそって、独占販売する販売代理店です。総代理店とメーカーの間では、担当地域や限定された商品などの独占販売権を獲得します。もっともメーカーとの距離が近い販売代理店です。

特約店

特約店は、特別な契約によりメーカーの商品を販売する代理店になります。特約店は、「販売地域」や「販売商品」などを独占して扱える特別な待遇をもった販売代理店です。その反面、メーカーからの圧力も大きくなります。その分、手数料としてもらえる報酬も通常の販売代理店に比べて、高めです。

購入意思の顧客をメーカーに取り次ぐ「取次」


取次店は、メーカーの商品を顧客に紹介し、顧客が商品の購入を決定したときに、メーカーに取り次いで手数料を得るビジネスモデルになります。報酬が発生する基準は、次の2通りです。

  • 検討中の客をメーカーに取り次いだ段階で報酬が発生
  • 購入を決定した客をメーカーに取り次いだ段階で報酬が発生

取次店は、顧客にメーカーの商材を紹介して、販売を促進します。検討段階のままメーカーに取り次ぐ場合と、購買意思を固めた段階で取り次ぐ場合とでは、顧客に対して報酬となる手数料に差が出てくるでしょう。

取次店は、顧客と直接的な金銭のやり取りをしません。そのため自社で決済する必要のないビジネスモデルです。その分、自社で販売まで請け負う販売代理店より、商品に対しての報酬が低くなるでしょう。そのような特徴から、取次店では多くの顧客をメーカーに送客することが必要です。

契約相手が異なる1次代理店と2次代理店

代理店の形態では、代理店が代理店に商材の販売を委託するビジネスモデルもあります。契約相手の異なる1次代理店と2次代理店というビジネスモデルです。

メーカーと直接契約する1次代理店

1次代理店は、メーカーと直接契約しているビジネスモデルとなります。代理店の仕組みとしては、通常の販売代理店と変わりはありません。しかし1次代理店は、メーカーより委託された商材をさらに2次契約となる2次代理店に委託する仕組みが特徴となります。

1次代理店は、メーカーの商材を自社で販売するだけではなく、自社で2次代理店を募集して販路を拡大することが可能です。すべては、メーカーとの契約にそって行う必要があります。1次代理店が多くの2次代理店を傘下に持つことができれば、2次代理店からの中間手数料も期待できるでしょう。

1次代理店と契約する2次代理店

2次代理店は、1次代理店の次の下請けとなる販売代理店のことです。2次代理店は、メーカーとの直接取引がありません。そのため仕入れや顧客との金銭のやり取りもない場合もあります。そのため、開業のハードルが低い代理店形態と言えるでしょう。2次代理店は、メーカーの規約次第で、さらに3次代理店を傘下にすることが可能です。

OEM


OEMとは、メーカーの商品を自社の商品としてブランド化し、仕入れした商品を販売するビジネス形態となります。販売代理店とはちがう自社の商品として販売する点が特徴です。

OEMは、Original Equipment Manufacturingの頭文字をあわせた略称になります。化粧品や食品、アクセサリー小物などあらゆる分野に取り入れられているビジネスモデルです。具体的には、メーカーの化粧品をボトルやパッケージだけを変えて、自社製品として販売する契約を取り交わすイメージとなります。

OEMの場合は、メーカーが製造工場をもち、商品の中身を製造した段階で、OEM契約した販売店のブランドとしてパッケージ化する仕組みです。OEM販売店側としては、在庫を抱えるリスクがあります。しかし外側のパッケージのみ違うため、最小ロットによる生産を可能とするメーカーがほとんどです。そのため在庫リスクが低くなります。

業務委託

業務委託は、メーカーと労働業務の提供を交わす業務形態です。メーカーとの契約が「雇用関係」でない部分が販売代理店と似ています。ちがう点は、報酬対象が商材ではなく、業務を対象とする点です。業務委託は、メーカーの職員を代理して、労働力を提供します。

そのためメーカーの商品がどんなに売れても、報酬は変わりません。逆をいえば、商品が売れなくても依頼された指示通りに業務を遂行していれば、労働報酬が得られるのです。

フランチャイズ

代理店の形態に含まれるかどうか、微妙なビジネスモデルとなるのがフランチャイズです。フランチャイズは、メーカーがブランドや店舗ごと利用可能とする点が、特徴となります。代理店形態の中では、メーカーにすべて用意してもらえるため、費用や手間のかからないビジネス形態と捉えるかもしれません。ところが実際には、メーカーの提供したブランドや店舗を自由に使えず、メーカーと交わした契約内容に沿って、店舗経営の最前線に立つことになります。

具体的には、コンビニエンスストアやレストランなどで活用されるビジネスモデルです。フランチャイズは、メーカーとの契約が重要視され、ブランドに反することを契約違反とされます。そのため加盟店となったオーナーは、契約遂行のため生活を犠牲にすることも考えられるでしょう。

フランチャイズのデメリット部分となる手間やコストなどをかけないで、効率のよいビジネスを進められるのがメーカーに依存しない代理店ビジネスになります。

まとめ

今回紹介してきた代理店の種類について、理解していただけたでしょうか?代理店ビジネスが、メーカーとの契約次第で、さまざまな形態で取り組むめます。また販売代理店の中でも、「正規特約店」など形態を重複することも可能です。すべては、メーカーとの契約によるため、契約前の問い合わせが大切になるでしょう。