代理店は競合を防ぐべき?エリア区分で予想されるメリットデメリット


「代理店制度を活用して販路を拡大したい」という目的で代理店を募集する企業は、少なくないでしょう。では、自社ビジネスであつかう商材を多くの代理店業者に販売してもらえば実質的に販路拡大が成立します。ただし、同じ商材をあつかう代理店同士が競い合うことにもなるでしょう。

この記事では、同じ商材をあつかう代理店同士における競合をテーマとして解説します。本部企業が、代理店事業者を募集する際に、同じ代理店との競合へ配慮すべきヒントを紹介しましょう。

代理店同士の競合とは

代理店ビジネスを展開するうえで営業活動を委託する代理店は、多いほど訴求対象が拡大します。そのような目的があるため、代理店を増やすことは本部企業の施策として当然のことです。ただし、代理店が増えれば同じ商材を販売する目的を持った代理店の競合が考えられます。

代理店同士の競合は、同じ商圏内で複数の同代理店が営業活動することで起きる供給過多の問題です。例としては、同系列のコンビニエンスストアが近隣に出店する状態が考えられます。このコンビニエンスストアの商品を求めている顧客を分断する行為にもなるでしょう。競合他社が近隣に店舗を構えて張り合うことは考えられますが、同じ商材をあつかう代理店同士では業者のつぶし合いが起きてしまいます。

代理店における競合

代理店の場合は、実店舗による競合と異なり、インターネットを活用した営業や架電、訪問営業など多彩な訴求方法が考えられます。

本部企業としては、商材をあつかう代理店を増やして販路拡大を進めたいという思いで代理店の募集を続けます。前線で営業する代理店の立場からすると、「代理店を増やされると成果が分断されるから増やさないでほしい」と思うかもしれません。

インターネットを活用した全国を対象にした営業規模であれば、同じ商材をあつかう競合代理店が複数いても影響がない場合もあります。ただし、代理店ビジネスであつかう商材がサービス系の場合は、代理店業者の担当エリアが絞られてきます。

たとえば、住居やオフィスの清掃をサービスとする代理店ビジネスでは、移動コスト面から代理店業者の居住エリアや近隣エリアが対応範囲になるでしょう。自分のエリア内に本部の同じ代理店が参入してくると、需要次第で案件の奪い合いも予想されます。このように同じエリア内で複数の代理店を展開させることは、代理店同士の売上にも影響を及ぼすため、配慮が必要です。

代理店展開でエリア区分に関するメリットとデメリット


複数の代理店に業務を委託して、ビジネスを展開する場合はエリアで区分けすることが必要です。代理店展開をエリアで分けたときのメリットやデメリットについて解説しましょう。また、エリアで分けない場合のメリットやデメリットもあわせて紹介します。

代理店展開をエリア分けするメリット

代理店展開のエリア区分は、本部企業の都合を基準に考えても問題ありません。エリアは、地域だけではなく代理店業者の属性(経験値や保有スキル、目的など)でグループ分けすることも可能です。一般的には、居住地域の近い代理店をエリア区分することが考えられます。エリア分けした場合は、本部企業にとって次のメリットが期待できるでしょう。

  • 代理店業者の研修や情報提供などで統率が取りやすくなる
  • 地域に適した属性の代理店業者を募集する目的が明確になる
  • 加盟する代理店が全国エリアで分散して増えれば全国展開がブランドイメージになる
  • 何よりエリア分けで代理店同士の競合を防げる
  • 代理店同士の競合を防ぐためには、エリアで区分することで解決できます。エリアで区分することで代理店同士が自分のエリアで存分に業務を実行できれば、売上拡大にもつながるでしょう。

    代理店展開をエリア分けするデメリット

    代理店展開をエリアで分けるデメリットは、次のとおりです。

  • 首都圏エリアと地方エリアで代理店業者数のバランスが取れなくなる
  • エリア範囲の開拓に時間を要する
  • 業績の格差を生み出す可能性もある
  • 代理店ビジネスの地域区分は、公平にできないことが特徴として考えられます。募集する代理店業者が人口密度の高い首都圏に集中してしまうのは仕方のないことです。首都圏を担当する代理店ばかりが増えてしまって、地方エリアを担当する業者がなかなか見つからないケースもあります。結局、首都圏だけのビジネス展開になることがエリア区分のデメリットではないでしょうか。

    また、首都圏だから顧客が集まることも要素になるため、地方エリアを担当する代理店業者の業績が伸びないことも考えられます。エリア区分は、代理店同士の業績で格差を生み出す要因にもなるでしょう。

    代理店展開にエリア区分を設けない場合のメリット

    代理店業者を多く募集して多方面展開する場合は、エリア区分するメリットとエリア区分しないメリットどちらも理解したうえで検討する必要があります。代理店展開にエリア区分を設けない場合は、次のメリットが考えられるでしょう。

  • エリア区分の管理業務が不要となる
  • エリアに関係なく複数の代理店を募集できる
  • 代理店同士を競い合わせられる
  • 営業能力のない代理店を見極められる
  • 需要のない地域でのビジネス展開を見極められる
  • エリア区分しない場合は、代理店同士の競合が予想されます。考え方によっては、エリア区分がなければ優秀な代理店を見つけ出すことを期待できます。また、エリアに関係なく代理店を募集することで、エリア区分するよりも早めに代理店業者を増やせるでしょう。

    募集しても集まらない地域も明確になれば、その地域をビジネス対象区域から除外することも可能です。そのため、無駄なコストや労力の削減も期待できます。

    代理店展開にエリア区分を設けない場合のデメリット

    代理店展開にエリア区分を設けない場合のデメリットは、代理店同士の競合が該当します。

  • 代理店同士で顧客の取り合いがひんぱんに起きる
  • エリア分けしていないためサポート対応に無駄が発生する
  • 代理店展開をエリアで区分しなければ、売上を求めて代理店同士が顧客の取り合いを始めます。エリアで区分されていないため、行動範囲の広い代理店ほど優位となり業績にも格差が生まれるでしょう。代理店同士の競合を目的にしている場合は、優秀な代理店業者を見極められます。ただし、今後組織的な展開を目指している場合は、代理店の統率を一からつくり上げなければなりません。

    また、代理店をエリア区分していなければ、本部のサポート体制に無駄が発生します。エリア区分していなくても、本部のサポートには移動コストが掛かるでしょう。研修期間を設けた場合、遠方の代理店業者の移動コストが大きくなります。エリア関係なく代理店を募集することは、地域にばらつきを出すことが考えられます。

    まとめ


    この記事では、同じ商材をあつかう代理店同士の競合をテーマに解説してきましたが、競合を肯定的に受け取れる場合もあります。代理店同士を競い合わせることで、代理店の能力を把握できる機会にもなるからです。
    代理店を増やして販路を拡大する場合は、「エリア区分するべきなのか?」それとも「エリア分けしないで優秀な代理店を見極めたいのか?」と、自社の目的を明確する必要があります。まずは、自社商材の特徴と代理店展開した将来のビジョンを具体化することから始めてみてはいかがでしょうか。