サラリーマンの業務委託による副業!おさえておくべき3つのポイント


「業務委託だったら会社にバレない?」

サラリーマンが業務委託で副業を始めた場合、本業の会社にバレる可能性はあるのでしょうか。サラリーマンが副業を始めた場合、勤務態度などに何らかの変化があればバレる可能性も考えられます。それは、本業を終えた後に時間的拘束を要するアルバイトやパートも同じことです。業務委託とは、パートやアルバイトと違って、どのような契約になるのでしょうか。

この記事では、サラリーマンが業務委託で副業をする際に抑えておきたい3つのポイントを解説します。副業を始めようと検討中の方は、取り組む前に交わす契約の理解としてお役立てください。

ポイント1:副業で業務委託契約を交わして会社にバレないか?


最近では、副業を解禁する企業も増えてきていますが、副業を禁止している企業もいまだに存在します。副業として業務委託を選んだ場合、契約することで会社にバレることはあるのでしょうか。業務委託契約を交わすことで会社にバレることはありません。

ただし、本業への取り組みに異変が生じれば、会社の管理者などに怪しまれてバレる可能性があります。たとえば、無理なスケジュールを組んで副業を始めた場合、本業の勤務態度に影響が出ることもあるでしょう。その結果、遅刻や急な欠勤、勤務中のミスなどをくり返せば、副業で無理をしていることが疑われます。

また、同僚や取引先業者からの告発なども考えられます。本業の内部情報や技術などを利用して、競合他社と取引きなどをすれば、本業で交わしている守秘義務契約に違反することとなり、相応の罰則を受けることもあるでしょう。 

副業は、税金からバレる可能性もあります。副業で得た所得が特別徴収で設定している場合です。住民税は、本業として勤務する会社が給与から天引きする形が一般的です。そのため、副業で増えた住民税に対して会社から副業を疑われる可能性が高くなります。

ポイント2:業務委託の定義


業務委託は、発注する立場の企業が社外の企業や個人に業務を委託する形式です。業務委託を受けた受託者は、受託者の裁量で業務を実行します。

たとえば、ホームページのデザイン制作業務を業務委託する場合は、デザイン制作の要望を伝えて成果物の納品を待つスタイルとなるでしょう。デザイン制作に必要な機材やツール(ディスプレイ・PC・編集ソフト)などは、裁量となるため受託者保有のものを使います。

業務契約では、受注者の裁量で取り組んだ業務を成果物として発注者に提供します。その成果物と引き換えに対価となる報酬を得る仕組みです。

発注者にとっての業務委託によるメリット

発注者にとって業務委託は、自社の人的リソースを強化する必要がない点です。自社に足りないスキルを外部の業者に任せることで目的を達成できます。また、外部への依頼は自社にない専門性を活用できることにもつながります。

たとえば、企業が会社の動画コンテンツを作成しようとした場合、動画制作の経験を持つ社員が自社にいなければ、スキルのある人材を雇用する必要もあるでしょう。もし、動画制作だけを専門とする社員を雇用した場合、その社員一人に掛かる固定の人件費を算出しなければなりません。

業務委託の場合は、依頼したい業務だけを部分的に外注できます。そのため、社員一人を確保するよりもコストを抑えられます。つまり、「雇う」や「雇われる」という雇用関係のない契約で目的を果たせる仕組みです。

受注者にとっての業務委託で仕事をするメリット

受注者にとっての業務委託で仕事をするメリットは、雇用関係のない分、自分の裁量で仕事をできる点です。業務自体を受注者の判断で進められるため、成果物が契約時に交わしている内容であれば、自由な環境で取り組めます。

たとえば、雇用関係の中でホームページ制作の業務を実行する場合は、会社の就業規則や雇用主と交わした契約の範囲内で実行しなければなりません。ノー残業デーを設定している企業の場合は、いくら製作途中でも打ち切る必要も出てきます。

また、ホームページ制作業務を社外のパソコンで行うことを禁止している企業の場合は、出勤日以外に携われないため制作まで時間が掛かることも考えられるでしょう。さらに、会社で使うパソコンの作業性能にも影響を受けて仕上がりが遅くなるかもしれません。

その点、業務委託の場合は仕事環境を受注者側の裁量で行えるため、ホームページ制作の業務にしても、夜間自宅において取り組むことも可能です。また、パソコンも作業性能なども業務委託内容にあわせられます。会社に稟議を提出する必要もないので効率よく仕事を進められるでしょう。

ポイント3:業務委託と他の契約について


業務委託契約は、業務を基準として発注者と受注者が交わす契約です。そのため、副業案件の中でも、「どの仕事が業務委託なのか」を定義を理解していないと誤解を招く可能性もあります。業務委託と他の契約の違いについて解説しましょう。

法律上では業務委託契約の存在はない

業務委託契約自体は、民法上の契約に存在しません。基本的に業務委託を行う場合、受注者と発注者は請負契約または委任契約(準委任契約)を結びます。

請負契約

請負契約は、発注者が依頼する成果に対して、受注者が成果物を納品します。納品した成果物に対して検品のうえ発注者から報酬が支払われる仕組みです。請負契約は、業務委託契約で交わすために民法第632号で定められています。

請負契約の特徴は、成果物が有形に近い区別のつく対象物であることです。たとえば、次のような対象物が請負契約として考えられます。

住宅の建築における内装のクロス貼り:屋内のクロスを全部貼り終えて引き渡すことで完成
ウェブ記事の執筆:要望されている内容で執筆して納品
営業代行:テレアポから商談への誘導を成果物として何件誘導したか

請負契約の場合は、成果物が明確であるため、どのような業務に対してどのくらいの報酬が必要か?発注者側にとって事前に成果の費用対効果を把握できるメリットがあります。受注者にとっては、依頼されている内容以上の成果を出したとしても、得られる報酬は変わらないため、成果対象の業務を事前に把握しておく必要があるでしょう。

委任契約(準委任契約)

業務委託のもうひとつの形式、委任契約は発注者が依頼する一定の業務を実行して、その実行した業務に対して報酬が支払われる仕組みです。委任契約と似た契約形態で準委任契約があります。双方の違いは、次のとおりです。

委任契約:法律行為に該当する弁護士業務など
準委任契約:法律行為に該当しないコンサルティングやオペレーターなど

委任契約は、成果物を基準としているのではなく、一定の業務に携わることに報酬が発生します。たとえば、カスタマーセンターのオペレーター業務の依頼を受けた際は、いつ顧客からの問い合わせが来るか見当がつきません。業務として平日の9時~18時まで時給で請け負うことも考えられます。その時間帯で何本の問い合わせが来るかは、日によって変わるため、成果ではなく業務に対して報酬が支払われることになるでしょう。

まとめ


この記事では、サラリーマンの副業として業務委託を始める場合のポイントを3つ解説してきました。業務委託契約が会社にバレる可能性や、「そもそも業務委託とは何か?」について定義を説明してきました。

また、業務委託は民法上2つの契約によって交わされます。請負契約と委任契約の違いから、副業選びの参考になることでしょう。副業として始めようとしている業務が、どのような契約を交わすのか?事前に理解しておくことをおすすめします。