知らないと損?代理店の資金繰りやキャッシュフローについての豆知識

「代理店を始めるのに資金繰りは大丈夫か不安がある」

代理店を始めるにあたって、開業資金や運営資金のやり繰りに問題はないでしょうか。一般的に開業する際は、事業資金を豊富に用意しておく必要があります。代理店は、本部への加盟金や研修費などが不要の場合もあるため、少ない事業資金で始める人もいることでしょう。

ただし、業種業態によっては顧客から支払われる利用料金の受け取りが1カ月先になることも考えられます。つまり、仕入れやサービスの仲介などの手数料を収益にする代理店の場合は、費用の立て替えが必須です。

今回は、代理店を始める前の豆知識として資金繰りやキャッシュフローについて解説します。代理店ビジネスを運用してから考えられるお金の流れになるため、お役立てください。

代理店の開業で重要なポイント

代理店に限られたことではありませんが、開業で重要なポイントは資金繰りです。資金が不十分なまま見切り発信してしまうと、開業後にキャッシュフローが回らなくなって事業を続けられなくなることも考えられます。

とくに、広告代理店の場合は、顧客からの申し込みに必要な広告出稿費用を立て替えることが日常です。顧客の入金を確認できるのは、1カ月後というスパンに耐えられるかが求められます。そのため、広告代理店は、受注から入金までの期間も理解しておきましょう。

資金の立て替えには貸し倒れがつきもの

広告代理店の場合は、顧客から依頼されて広告を掲載する際の費用を立て替える特徴があります。そのため、費用を立て替えている際に、顧客企業の事情による貸し倒れリスクも考えられるでしょう。とくに経営状況は、物価の高騰やコロナウイルスの影響などを受ける可能性もあります。顧客企業によっては、切羽詰まった経営状態で広告出稿を申し込んでくるケースも考えられます。

中小企業の資金面の課題

中小企業には、資金繰りの課題がつきものです。中小企業の多くは、買掛金と売掛金のリスクをかかえています。中小企業を相手にした広告出稿の依頼では、大規模案件に注意しましょう。大規模案件に対して、キャッシュフローが圧迫されることが考えられるためです。

とくに案件規模が大きくなれば立て替える広告費も大きくなります。広告代理店の場合は、Google広告などに支払う掲載費用も高額になることも考えられるでしょう。

具体的には、広告掲載費用が80万円で広告掲載の手数料が20万円になる場合、合計100万円の広告掲載費用を顧客に支払ってもらう必要があります。ただし、案件受注後の掲載費用80万円を立て替えなければなりません。この仕組みは、受注後に仕入れが発生するケースです。

広告代理店は、このようなキャッシュフローにより万が一の貸し倒れリスクを背負って運営しています。広告費は、ビジネスが順調に回っていれば案件規模も高くなることが考えられます。高額な広告費用を立て替えた場合、顧客からの支払いが滞ることで黒字のまま倒産するかもしれません。

広告代理店のキャッシュフローを改善する豆知識

広告代理店の貸し倒れリスクを軽減させるには、キャッシュフローの改善が必要です。キャッシュフローの改善は、確実に自社の資産が増えていくKPI(重要業績評価指標)を立てることではないでしょうか。意識して取り組める方法は、次の3点です。

上限(許容範囲)を明確にした受発注ルールをつくる:確実に資金が増えるキャッシュフロー
顧客(広告主)へ発注と入金の間隔を短く依頼する:顧客へのお願い
広告掲載先企業に支払いの猶予期間を延長してもらう:媒体企業へのお願い

上記にあげた3つの方法は、意識したうえで取りくめる範囲に限りがあります。そのため、顧客も代理店も安心できる仕組みが必要です。キャッシュフローの改善は、顧客に請求する広告費用を分割化して代理で支払ってもらう業者を含める方法です。キャッシュフローに第三者を含めることで、顧客や代理店の不安を縮小できます。

資金繰りに融資で調達も可能


代理店として開業する場合は、法人個人どちらでも状況にあわせた資金繰りのサポートを受けられます。状況によっては、資金繰りを融資で乗り切ることもひとつの手段です。代理店が法人化する際の独立資金や新規事業として始める場合の事業資金など、資金繰りで困っている状況からコンサル依頼もできます。

融資で乗り切った先に経験を生かしてコンサル代理店も可能

融資で資金調達した経験をふまえて、コンサルの代理店の道も開けます。代理店制度の中でも仕入れやノルマなどない紹介店です。本部より、資料やチラシなどの提供を受けて同じような課題を抱えている企業に融資の窓口を紹介する代理店としても経験が活かされます。

代理店紹介URL:https://bahn-rep.com/dairiten-bosyu/yuushimadoguchi

資金繰りのために必要なのは資金調達先の事業理解

広告代理店の事業内容は、認知されているようで認識不足な面もあります。独立開業を機に日本政策金融公庫へ事業資金の融資を申し込む人は少なくありません。今回の記事で解説している広告代理店にとっては、開業資金が多ければ大きな案件の貸し倒れリスクで共倒れから修復も可能です。

まとまった事業資金を公的機関から借り入れるには、日本政策金融公庫の担当者が「事業をどれほど理解しているか?」では、ないでしょうか。広告代理店も例外ではなく、担当者が事業への理解が低ければ、将来性や返済能力などの査定への影響も考えられます。そこでポイントになるのが次の項目を明確にできることです。

  • 事業内容
  • 事業で発生する費用
  • 費用も含めた運転資金

自己資金が少ない場合は、創業の計画性を疑われる可能性もあります。そのため、事業を始めるビジョンには、次の要素が必要です。

事業のジャンルに対しての知識や経験、売上に対しての根拠などを明確に伝えることが重要です。融資に成功できれば、開業から広告費用の立て替えに一喜一憂することもなくなります。

事例URL:https://start-note.com/precedents/before-starting-business/information-technology/71/

入金までは長い先払いの出費の特徴をどのように活かすか


広告代理店の課題は、入金までが長くて先払いの出費が増える点です。この特徴は、言いかえると高額の手数料を期待できるハードルとも言えます。大きな案件の場合は、事後の一括払いではなく工程ごとに区分して請求することでも出費を抑えられるでしょう。その場合は、契約の段階で顧客の同意を得る必要があります。

また、顧客先へ求めるのはスポットでの依頼ではなく、継続的な単価の低い案件です。安定した売り上げは、借入を別にしても経営計画を伝えるうえでも重要な指標になるでしょう。そのため、大きな案件だけではなく、安定した案件と複合的な売上を同時で求めることが必要です。

まとめ

本記事では、代理店の資金繰りを広告代理店のキャッシュフローを参考にして、解説してきました。キャッシュフローに受注後の仕入れリスクを含めていると、顧客企業(広告主)の体力次第で広告代理店も黒字倒産のリスクを目の当たりにします。変化の激しい時代では、自社の体力を周知した経営が必要です。

また、広告代理店の醍醐味でもある大規模サイトからの依頼に対応することも実績として企業価値を上げる役割になるでしょう。広告代理店での業務経験を生かすのであれば、明確な経営ビジョンを持って融資を受けることも選択肢のひとつです。状況にあわせて判断してみてください。