個人事業主になる際にやっておくこと!必要な手続きを解説
最近では、テレワークの普及で場所を選ばず自由な働き方が浸透しています。働き方は、場所だけではなく時間や社会的身分などにも影響している状況です。
個人が自由な働き方を実践するにあたって、個人事業主になる考え方もあります。この記事では、個人事業主になるための手続きを解説します。個人事業主について検討している方は、ぜひ参考にしてください。
個人事業主とは
事業を行う上で、会社を起こし法人となる法人事業主とは真逆になるのが個人事業主です。個人事業主は、個人の立場で事業を行う立場を指します。個人事業主に対しての制限はありません。
個人ひとりでも開業が可能です。他には、家族や少数の人材でも開業が可能で、大勢の従業員を抱えていても個人事業主でいられます。
どちらの個人事業主になるか
社会人となって、会社に就職せず個人事業主からスタートする場合も考えられます。ここでは、最初から個人事業主ではなくサラリーマンから始める場合について、2つのパターンを紹介しましょう。個人事業主になる場合は、2つのパターンから開業することが可能です。
会社を退職して個人事業主になる
会社を退職して個人事業主になる場合は、所属する会社の信用により利用できたクレジットカードなどを発行できなくなるでしょう。個人事業主として会社に所属していない身分では、クレジットカードや住宅ローンの通りにくさが考えられます。そのため、退職前にカードや住宅ローンなどの申し込みは済ませておきましょう。
会社で働きながら副業として個人事業主になる
会社に所属したまま、いわゆる副業として個人事業を始める場合は、「自分の会社が副業を認めているか?」を判断するための就業規則の確認が必要です。就業規則で副業を禁止している項目があれば、規則違反にもなるので事前チェックをしましょう。
また、副業で得られる年間の見込み所得が20万円以上であれば、確定申告が必要です。確定申告をするうえで毎月継続的な収入が見込める場合は、個人事業主になることで税負担を軽くできます。
個人事業主に必要な手続き「開業届の提出」
個人事業主に必要な手続きは、管轄の税務署への開業届です。この開業届を提出するだけでコストを掛けないで個人事業主になれます。個人事業主になると、税務署に事業所登録されて、開業中は税務署から毎年確定申告の通知が届きます。つまり、事業者として正式に確定申告が義務付けられる状況です。
また、個人事業主として開業した際は、開業時に申告方法を選択しなければなりません。
白色申告
青色申告
税制上の優遇を受けないのであれば、白色申告になるでしょう。白色申告は、税務署へ提出する帳簿などが簡易なもので済ませられます。
青色申告承認申請書の提出
青色申告を選んだ個人事業主は、開業時の手続きで青色申告承認申請書を提出する必要があります。個人事業主は、青色申告を承認されることで税制上の優遇を受けられます。税制上の優遇処置は、次のとおりです。
青色申告65万円控除:必要な帳簿類の提出で年間最大65万円の控除
青色申告10万円控除:必要な帳簿類の提出で年間最大10万円の控除
ちなみに、65万円控除と10万円控除の提出書類の違いは次のとおりです。
10万円控除:確定申告書B+青色申告決算報告書
65万円控除:確定申告書B+青色申告決算報告書+貸借対照表+損益計算書
青色申告の申請手続きは、開業後2カ月以内であれば変更できます。それ以降で変更する場合は、その年の3月15日までに変更手続きをすれば、その年の申告を変更できる仕組みです。
源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書
個人事業主に場合でも、従業員のいる個人事業主は他にも必要な手続きが考えられます。そのひとつが源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書。この申請書は、従業員の給料から毎月徴収している所得税を半期納期に変更する手続きです。
給与支払事務所等の開設届出書
個人事業主の事業で給料を支払う事務所を開いた場合は、給与支払事務所等の開設届出書の提出が求められます。ひとり開業した場合でも、給料の支払いが発生した場合は手続きが必要です。
個人事業主に必要な手続き「国民健康保険」
会社に席を置かずに退職した場合、個人事業主になると会社の健康保険から国民健康保険への切り替えが求められます。ただし、健康保険に関しては2つの選択肢から選べます。
国民健康保険への加入
会社の健康保険を任意継続
会社の健康保険を任意継続した場合は、退職した日から2年間の継続ができます。上記の選択は、個人事業主になる当人の状況で異なるため、個人事業で見込める収入や扶養家族などで保険料が決まるため、所轄の自治体などで相談することをおすすめします。
個人事業主に必要な手続き「国民年金」
個人事業主になると、会社勤めのときの厚生年金から国民年金への加入が必要です。国民年金の期間が長ければ、厚生年金を支払っていた人よりも将来受け取る年金金額が下がります。
いままで、会社から支給される給料から厚生年金や健康保険料を差し引かれていた場合は、個人事業主となって自分で納付しなければなりません。
副収入がある人は避けられない手続き「確定申告」
個人事業主だけではなく、何らかの副収入のある人は確定申告が必要になることが考えられます。副収入がある人は、次のポイントで確定申告や個人事業主として開業を考えましょう。
給与以外に年間20万円以上の所得は確定申告が必要
給与所得と別に年間所得が20万円以上ある場合は、確定申告が必要です。年間所得は、年間収入からコストを差し引いた利益。ここで取り上げている所得は、事業所得が該当します。ただし、所得は、不動産所得や株式などの譲渡所得も合算されます。自分の収入を見直してみて、すでに20万円以上の所得が見込まれるのであれば、確定申告の準備をしましょう。
また、確定申告の対象所得が継続的な収入によるものであれば、副業であっても個人事業主として登録をすることで確定申告の優遇処置を受けられます。
無申告のままだと無申告加算税の支払い対象に
副業をしていて年間20万円以上の所得がある場合、確定申告をしないで放置していたとしましょう。放置したまま、何らかのタイミングで所得が発覚した場合は無申告加算税の対象になるでしょう。無申告加算税は、次のような仕組みの税制度です。
無申告にあたる納付すべき税額:50万円まで納税額に15%が加算された納税額を納付
無申告にあたる納付すべき税額:50万円以上は納税額に20%が加算された納税額を納付
申告漏れは、どこで発覚するかわかりません。無申告による脱税とならないため、日頃から自分の収入に関して把握しておく必要があります。
まとめ
今回の記事では、個人事業主になる際の必要な手続きのヒントとして、開業届や青色申告、国民健康保険、国民年金などについて解説してきました。個人事業主になる境界線は、強制ではないため放置してしまうかもしれません。
ただし、小さな収入も時間とともに大きくなる可能性もあります。個人事業主になる手続きは、税務署に開業届を提出するだけです。代理店として副業を始めた場合は、年間の所得が20万円以上となる可能性もあります。将来に備えて、手続きを済ませおきましょう。